あなたは大丈夫?モラルハラスメントかな?と思ったら

1.テーマ:モラルハラスメント 4000文字

概要文:皆さんは「モラルハラスメント」という言葉をご存知でしょうか。モラルハラスメントとは、その名の通り、精神的な(モラル)暴力、嫌がらせ(ハラスメント)のことを指します。近年問題視されている行為で、自分も知らぬ間に加害者及び被害者になっているかもしれません。そこで今回はモラルハラスメントについて、色々な側面から迫ってみたいと思います。

本文:

社会問題になっている「セクシャルハラスメント」や「パワーハラスメント」などといった「ハラスメント」行為。そこに近年台頭してきたのが「モラルハラスメント」という精神的暴力行為です。モラルとは精神のことを指し、ハラスメントとは暴力、嫌がらせを意味します。これは暴力といっても体を傷つけるわけではなく、心を蝕んでいくものです。目に見えないぶん深刻な被害状況であっても周知されにくく、それをいいことにどんどん弱った心につけ込まれる恐れもあり、極めて卑劣な行為といえるでしょう。

 

こうした被害に遭わないためにも、モラルハラスメントについて詳しく解説したいと思います。また、現在被害を受けている方や、いつか実際に被害に遭った時のため、対処法も紹介するので併せてご覧ください。

 

モラルハラスメントとは、言葉や態度によって相手の精神を傷つける行為全般のことを指します。加害者は、弱い立場の人に暴言を吐くなどして自分の精神優位性を保とうとして、被害者の心を傷つけます。精神的に追い詰められることは、時に肉体的に傷つけられるより深い傷を負うこともあるため、一部には精神的な殺人行為と呼ばれることもあるほど、甘くみてはいけない問題です。

 

元は、フランスの精神科医であるマリー=フランス・イルゴエンヌ氏によって提唱された言葉で、その母国であるフランスでは2002年にモラルハラスメントを禁止する法律ができ、その二年後には犯罪行為として罰金と懲役刑が課されるようになりました。

 

しかし、日本において「セクシャルハラスメント」が法律用語であるのに対し、モラルハラスメントは未だそうではありません。目に見えにくい行為であるがために軽視されやすいことがここで伺えます。

 

モラルハラスメントは職場での人間関係や学校でのイジメ問題に限らず、家族間や恋人間においても当てはまることがあり、この場合はドメスティックバイオレンス家庭内暴力)に分類されます。

 

ここに含まれる行為は様々なものがありますが、主に無視する、無理矢理にでも欠点を見つけてそれを元に攻撃する、些細なことにもいちいち難点をつける、過去に相手が犯した過ちを何度も蒸し返す、長時間に渡って説教をする、悪い噂を周囲に言いふらす、周囲から孤立させるなどの例が挙げられます。

 

またモラルハラスメントは主に男性から女性へ向けられることが多く、自分は気付いていないだけで、実は付き合っている彼氏がモラルハラスメント男だった・・・という可能性も十分有り得るのがこれの怖いところ。

 

気付かないうちに被害者にも加害者にもなり得るモラルハラスメント。気付いた頃には事態は深刻化していて後戻りできない状況に・・なんてことにならないように、モラルハラスメントをする傾向にある人の特徴と、被害に遭う人の心理状態について今から見ていきましょう。

 

 

それではわかりやすいように、モラルハラスメント加害者の特徴をいくつかの項目に分けて説明したいと思います。

 

  • 周りから見ると「いい人」

意外かもしれませんが、モラルハラスメントをする人は、被害者から見ると恐ろしく見えても周りの第三者からは人格者とまで思われていることがあるほど、体面上はいい人を装っています。ここに、パワーハラスメントとの大きな違いがあります。大勢の前で行われるパワーハラスメントという行為に対し、モラルハラスメントは誰も見ていないところで行われるのが特徴の一つなのです。

 

モラルハラスメントを行う人間は、自己愛が強い傾向にあるため、被害者に当たり散らす行為が恥ずかしいことだと自覚しているので、それを隠すために感じの良い人を演じるといわれています。

 

  • 最初は優しい

加害者は、付き合う前や結婚前など、知り合ってすぐは優しい人を演じているため見極めるのが難しいのがモラルハラスメントの厄介なところです。相手が逃げられない状況を作ってから初めて本性を現すのです。また、子供ができると、その子どもに嫉妬して豹変するタイプの人もいるので注意が必要です。

 

  • 平然と嘘をつく

周りからの同情を買うために平気な顔をして嘘をつくのもモラルハラスメント加害者の特徴です。まるで被害者が悪いかのような言い方をして周囲を自分の味方につけ、時に仲間内で孤立に追い込むことも・・。また、被害者に嘘がバレた場合は適当にごまかし、その場を切り抜けようとします。

 

  • 常に仕事などでストレスを感じている

社会人であれば仕事、学生であれば周りの人間関係などにおいて常に不満を抱えていると、日常に対する破壊願望が、自分に反発することのない身近な人間に向かう場合があります。これが慢性化することによってモラルハラスメントの事案となるのです。

 

  • 自分に甘く、他人に厳しい

同じミスを犯したとしても、それが自分の過失だった場合は言い訳を多用するなどして特に問題がなかったかのように振る舞います。しかし、それが相手のミスであった場合は容赦なく責め立てます。自分は良くても人のことは許せない、これは典型的なモラルハラスメント気質であるといえるでしょう。

 

  • 自分のルールに従わせる

モラルハラスメントをする人は、自分が中心でないと納得しません。そのため自分の考えが一番正しく、常識や倫理観などは一切通用しないのです。被害者は「いつか自分の行動の矛盾に気づいて行動を改めてくれるだろう」と期待しますが、大半の場合加害者が行動を改めることはありません。

 

  • たまに優しさを見せる

アメとムチの使い分けが非常に上手なのもモラルハラスメント加害者の特徴の一つです。いつも罵声を浴びせておいて、耐えきれず被害者が音をあげた途端、謝ったり下手に出たりするのです。しかしこれは、反省しているわけではなく一時的に優しさを見せることで相手に依存させ、さらにその心に漬け込もうと画策しているに過ぎません。

 

  • 親からの愛情を過度に受けて育ったもしくは、受けずに育った

モラルハラスメントをする人の特徴として、幼少期に親の愛情を過度に受けて育った、あるいはその反対でほとんど受けずに育った場合などが挙げられます。前者は常にわがままを言っても受け入れられる環境にあったため、我慢を覚えず大人になってしまったのが原因で、後者は親から得られなかった愛情を相手に過剰に求めようとすることが原因とされています。

 

このようにモラルハラスメントをする人は、通常であれば見逃すような些細なことにも腹を立て、ネチネチと精神攻撃を仕掛けてくる傾向にあることがわかります。誰でも喧嘩をした時などは一時的に腹を立て、無視をしたり嫌味をいうことはあるかと思いますが、モラルハラスメント加害者においては、それが日常のようなものなのです。

 

ここまでご覧になって、「もしかして私が受けているのはモラルハラスメントかも」と思った方や「モラルハラスメントなんて受けるわけがない、こんなことをされたらすぐに縁を切るべき」と憤慨した方など、それぞれ色々な感情をお持ちかもしれません。

 

しかし、モラルハラスメント被害者であっても字面で加害者の特徴を見ただけではピンとこない、それどころか有りえないと思うことすらあります。これは、いくら倫理観を持ち合わせていても、身近な上に好感を持っている相手から徐々にモラルハラスメントを受けた場合、気づきにくいあるいはその事実を認めたくないという心理が働くからで、被害が深刻化した時には手遅れになってしまう原因となることもあります。

 

そうならないように、次はモラルハラスメントの被害に遭っている人の心理状態について見ていきたいと思います。

  • 罪悪感を感じている

一見、被害にあっている側であるのにどうして罪悪感を?と、矛盾しているようでもあるこの項目。

これには加害者の巧みな心理操作が隠されているのです。加害者は、被害者に対して常に「自分が正しい、自分はすべて分かっている」といった態度をとられます。その上で「だからお前が悪い」「お前が間違っている」などと指摘されることで、実際には被害者側は全く悪くなく、むしろ加害者側に原因があることでさえ「自分が悪かったんだ・・」と思い込んでしまうのです。そして、どのようなことに関しても自分に責任がある、とさらに自らを追い込んでしまいます。

 

また、外部の人との関わりを断たせて孤立に追い込もうと、「お前のことを思って言うけれど、あの人(第三者)と関わるのはやめたほうがいい」などと吹き込み、被害者が第三者と接触することにさえ罪悪感を感じてしまうこともあります。

 

  • 常に不安状態にいる

加害者の気分により、同じことをしても許される場合と、そうでない場合があります。改善しようとしても何をどうしたら良いのかわからず混乱状態に陥り、常に「これをしたら怒られないか」など相手の顔色を伺うような不安と戦うことになります。

 

(3)自分の考えが持てなくなる

モラルハラスメントが繰り返されていくうちに、被害者は段々と自分基準で物事を考えられなくなります。本来であれば自分の気持ちに従って行動するところを、加害者がどう思うかばかり考えて行動するようになってしまうのです。もうここまできたら意思を持たない操り人形になっているようなもの。かなり危険な状態といえるでしょう。

 

モラルハラスメントの被害に遭っていることを自覚した場合、一刻も早く被害者とは縁を切りましょう。それが長年連れ添った恋人である場合や夫または妻の場合、離れにくい気持ちもよくわかります。しかし、そのままでいると貴方の健康状態が危ないかもしれません。

 

モラルハラスメントを受けた場合、精神疾患を患ったり、果てには自殺を図る人もいます。ある意味で、肉体的な暴力より怖いものだと理解してください。現実から目を背けず、感情論を抜きにして向き合うことが大切です。

 

勇気が出ない場合は周りの人に相談したり、心の相談窓口の電話を利用することも一つの手です。自分一人で抱え込まず、冷静に判断してくれる第三者の目を頼りましょう。

 

まとめ

モラルハラスメントについて、ご理解いただけたでしょうか?今は大丈夫だと思っていても、これから先、環境の変化などでいつ自分が被害者になるか、わかりません。日頃から自分の考えをしっかりと持ち、冷静な目で物事を判断できるように、心がけましょう。