正しく知ろう「ワキガって何?」
・導入文
皆さんは「ワキガ」について、どれくらいご存知ですか?
自身もしくは近しい人に症状のある人がいない場合、イメージが湧きにくいのではないでしょうか?
そこで今回は、ワキガについて知らない人にも分かりやすく解説していきたいと思います。
・原因を知ろう〜ワキガへの誤解をしないために〜
まず初めに、ワキガとは「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれる症状のことを指します。
これは体質によるものであり、本人の生活習慣のせいでも不潔にしている為でもありません。
正しい知識がないと、ワキガである本人に原因があると思い込んで不当な偏見を持って接してしまいかねないので、疾患に対する正しい認識を持って接するように心がけたいものですね。
しかし、原因は自分で作ったものではないのに関わらず、一体なぜワキガになってしまうのでしょうか。
それには汗が関係しています。
実は汗の種類は2つに分かれており、その違いは汗を出す器官にあります。
まず一つは「エクリン汗腺」と呼ばれるもので、これは身体全体に存在している汗腺です。
もう一つは「アポクリン汗腺」と呼ばれるもので、こちらは脇下や耳、股間部分など毛の密集している部分に存在します。
このうち「アポクリン汗腺」と呼ばれる方から出る汗のみがワキガと呼ばれる症状に直接作用しているのです。
・アポクリン腺から出た汗はどうして臭いを発するのか
では、なぜアポクリン汗腺から出た汗はワキガの原因となる臭いを発するのでしょうか。
これには肌の常在菌が関係しているのです。
意外なことに、アポクリン汗腺から出た汗であっても発汗直後であれば臭いはしません。
ではどのタイミングで臭いが発生するのでしょうか。
そもそも一般に、汗そのものには臭いはないとされています。
しかし、アポクリン汗腺から出た汗とエクリン汗腺から出た汗などが混ざり、皮膚の常在細菌がそれらを分解した時に臭いを発する物質が生成されると、臭いが発生するのです。
その他に、アポクリン汗腺が存在する脇などの部位には毛が密集しているため、それらが汗を留めてしまい臭いが発生しやすい環境を作る原因にもなっています。
またアポクリン汗腺が活動を始めるのは第二次性徴後なので、一般に腋臭症が発生するのは思春期以降とされています。
- 違いは遺伝にあった?ワキガになる人ならない人
さて、アポクリン汗腺というのはほとんど全員が持っているものであるのにも関わらず、なぜワキガになる人とそうでない人がいるのでしょうか。
その違いはアポクリン汗腺の数や大きさによるものです。
ワキガの人はそうでない人に比べるとアポクリン汗腺が多く、またそれ自体が発達して大きいとされています。
これを踏まえると、全世界で見たときにワキガ体質である人の割合は70%にも及ぶ一方、日本においては10%ほどと言われているのは、アポクリン汗腺が発達しているとされる欧米人にはワキガの患者数が多く、日本人には少ないことを表していることがわかります。
また、ワキガ体質というのは生まれつき決まっていて、これは遺伝によるものとされています。
片方の親がワキガ体質である場合、ワキガになる確率は50%以上とされ、両親ともにワキガ体質の場合には、その確率は80%以上にもなります。
その他の違いとしては、常在細菌の種類が異なることが挙げられます。
通常、皮膚に常在している細菌は表皮ブドウ細菌といったものが多いのですが、ワキガ体質とされている人の皮膚にはジフテロイド菌というものが特異的に多く棲み着いています。
この二つでは分解した時の成分に大きな違いがあり、前者は酢酸が多くいかにも汗くさい臭いなのに対し、後者はカプリン酸などによる刺激的なワキガ臭となる成分が多く含まれているのです。
・ワキガは伝染するのか
ワキガになる原因について分かったところで、ことに誤解の多いワキガの伝染について、説明したいと思います。
ここまで読んでなんとなくお気づきかもしれませんが、ワキガが他の人に伝染することは、まずありません。
生まれつきの体質によるものであるからです。
・ワキガは治せる?
さて、もしワキガを発症してしまった場合、治すことはできるのでしょうか。
対処法が見つからないのではないかと心配になってしまいそうですが、実は手術による治療が可能です。
この手術にはアポクリン汗腺を取り除くものと、凝固させたり破壊するものがあります。
様々な方法があり、それぞれ費用も大きく変わってきますので、事前によく下調べした上で治療を受けるようにしましょう。
・まとめ
ワキガについてよく知らなかった人も、これで原因や性質について分かっていただけたのではないでしょうか。
正しい知識や対処法を知ることで、ワキガに対する偏見はなくすことができます。
現在ワキガを治療するための手術は全国様々な病院が行なっており、保険適用することも可能であるためお悩みの方は是非お近くの機関で診療を受けてみてはいかがでしょうか。
この記事によってより多くの人にワキガの正しい認識を持っていただくことができ、偏見をなくすことに繋がれば幸いです。